ChatGPTのChat / Work分離とは何だったのか|現行仕様と年内統合発言まで整理¶
いま固定すべき運用基準
| 作業 | 現在の運用 |
|---|---|
| 短い相談や文章修正 | Chatで回答を見ながら次の指示を決める |
| 調査から成果物までの複数工程 | Workへゴール、資料、承認点を先に渡す |
| リポジトリを使う開発 | Codexで対象範囲、テスト、差分レビューを決める |
2026年7月9日に導入されたChat、Work、Codexの三分割は、作業の長さと実行環境を利用者に選ばせる設計だった。1社内手順はタブ名ではなく、エージェントへ委ねる範囲と人間の確認点で記述する。 OpenAI社長のGreg Brockman氏は7月末のインタビューで、Workタブを年末までになくしてChatGPTへ統合したいとの見通しを示しているが、これは製品ロードマップの発言であり、確定した廃止日ではない。56

現在の使い分けは作業の完了条件で決まる¶
Chatは、利用者が回答を見て次の問いや修正を決める短い対話に向く。 Workは複数工程を経て完成物まで進め、Codexはコード変更、テスト、コマンド実行、差分レビューを担う。2 SmartScopeは成果物の長さではなく完了条件で入口を選び、成果物、資料、検査、承認を先に固定できる仕事をWorkへ渡し、対話の途中で問いを探す仕事をChatに残す。
クラウドとローカルで扱える資産が分かれる¶
Web版とモバイル版のWorkはクラウドで動くため、利用者のPCにあるファイルへ直接アクセスできない。2 アップロードしたファイルや接続済みサービスの資料は扱えるが、手元のフォルダーをそのまま探索させる用途ではない。 ローカルファイルやデスクトップアプリを使う作業は、許可範囲を限定したうえでデスクトップ版Workへ渡す。
Codexは現在もデスクトップアプリ内の別ビューであり、ローカルフォルダー、リポジトリ、ターミナル、開発ツールを扱う。2 Codexの履歴はChatGPTのChatとWorkから分かれているため、開発作業の引き継ぎではリポジトリの差分、テスト結果、Pull Requestを正本にする。
この境界は、機密情報の扱いにも直結する。 組織は「Workを許可するか」だけでなく、Work Cloud、Work Local、Codex Local、接続サービス、ブラウザー利用を分けて権限設計する必要がある。2
クラウドWorkの履歴は端末間で同期する¶
ローンチ直後には、クラウド版Workとデスクトップ版Workの会話履歴が同期しない制約が報じられていた。4 OpenAIは7月16日の更新でこの制約を変更し、クラウドWorkの会話をWeb、モバイル、デスクトップで継続できるようにした。1 ChatとWorkの会話もデスクトップのRecentsへ統合され、種類による絞り込みとピン留めができる。
ただし、デスクトップで開始したローカル会話はそのコンピューターに残る。2 「Workの履歴は同期する」と一括りにせず、クラウド会話とローカル会話を手順書で分ける必要がある。
成果物ファイル、決定事項、承認履歴を会話の外へ残す運用も引き続き有効である。 同期は作業の再開を助けるが、会話履歴だけを組織の記録やレビュー証跡にはできない。
通常Chatはモデル名より推論レベルを選ぶ¶
通常のChatGPTでは、対象の有料プランへ更新版GPT-5.6 Solと推論スライダーが順次展開されている。31 PlusではMediumとHigh、Pro、Business、EnterpriseではMedium、High、Extra Highを選べ、Pro系の選択肢は対象プランに限られる。3 ただし、Enterpriseではワークスペース設定や段階的展開により、従来のモデル選択画面が残る場合がある。
モデルピッカーのConfigureでは、即時応答からMediumへ自動的に切り替える挙動を有効または無効にできる。 作業ごとの再現性を優先する場合は自動切り替えを無効にし、利用できる推論レベルを直接選ぶ。
GPT-5.6 TerraとLunaは通常Chatのモデルピッカーでは選べない。 プランによってWork、Codex、OpenAI APIでは利用できるため、旧来のモデル名指定を運用要件に含める場合は、Chatだけで完結する手順にしない。3
8月6日の更新はChatだけを変更した¶
OpenAIは8月6日、PlusとProのChatへ更新版GPT-5.6 Solと推論スライダーを展開すると発表した。1 FreeとGoではGPT-5.6 Lunaを既定モデルとして展開し、テキストチャットの無制限化とThinkボタンは翌週から提供予定とした。 不正利用防止の制約があり、ファイルアップロード、画像、その他のツールには引き続き上限が残る。
この更新はChatの体験だけが対象で、WorkとCodexは変更されていない。1 したがって、同じGPT-5.6 Solという表記でも、Chat側の更新をWorkやCodexの応答特性へそのまま当てはめることはできない。
組織がモデルごとの標準を作る場合は、モデル名だけでなく、Chat、Work、Codexのどの提供面か、推論レベル、自動切り替え、利用枠を一組で記録する。 「Solを使う」という一行だけでは、再現条件が不足する。
三分割は待ち時間と権限の違いをUIへ出した¶
7月9日のWorkは、接続済みのアプリやファイルを使って調査と分析を進め、完成した文書や表、プレゼンテーション、レポート、Siteを作るエージェントとして導入された。1 利用者は進捗を見ながら質問へ答え、方向を変え、重要な操作を承認できる。
短い質問応答と長時間の自律実行では、待ち時間、権限、利用枠、途中確認の方法が異なる。 三つの入口を分けた設計は、この違いを明示する方法だった。
しかし、利用者は作業を始める前に「ChatかWorkか」を選ばなければならず、Codexだけは別の切り替え階層に置かれた。 7月16日の更新で、OpenAIはChatとWorkのトグル、ChatGPTとCodexの全体切り替え、統合Recentsを追加している。1 この短期間の変更自体が、初期の情報設計をそのまま維持できなかったことを示す。
年内統合は発言段階で確定日がない¶
Joanna Stern氏のインタビューで、アプリを「kind of a mess」と評されたBrockman氏は、その評価に同意した。56 同氏は、理想はタブのない設計であり、年末までに独立したWorkタブをなくしてChatGPTへ自然に組み込みたいと述べている。
この発言は、Workの実行系や長時間タスクが廃止されることを意味しない。 OpenAIの公式ヘルプは現在も、Chatを短い対話、Workを複数工程の成果物、Codexをソフトウェア開発として案内している。2 統合対象として読めるのは、作業粒度の違いそのものではなく、利用者が先に別タブを選ぶUIである。
年末という時期はインタビュー時点の見通しであり、OpenAIは移行日や最終UIを公式リリースノートで確定していない。 社内計画では「2026年内に画面変更の可能性が高い」と扱い、特定の日付を前提に移行作業を予約しない。
社内手順は委譲範囲と確認点で書く¶
Workタブの位置や名称を手順の主語にすると、UI変更のたびに文書を直すことになる。 変わりにくい手順は、作業の入力、エージェントへ委ねる工程、人間が承認する操作、完了証跡の四つで構成する。
- 依頼者が、成果物と完了条件を定義する。
- 依頼者が、クラウドまたはローカルのどちらで資料を扱うか決める。
- エージェントが、許可された範囲で調査、作成、検査を進める。
- 確認者が、外部送信、公開、購入、コード変更などの重要操作を承認する。
- 担当者が、成果物、差分、テスト、承認記録を会話の外へ残す。
運用標準は、UIではなく委譲と確認の境界へ固定する。 この書き方なら、Workが独立タブからChatGPT内部の自動ルーティングへ変わっても、組織の責任分担を保てる。
関連記事¶
出典¶
OpenAI, ChatGPT Release Notes, 2026年8月9日参照。7月9日のWork導入、7月16日のデスクトップUIと履歴同期、8月6日のGPT-5.6更新を確認した。 ↩↩↩↩↩↩↩
OpenAI, ChatGPT Work and Codex, 2026年8月9日参照。Chat、Work、Codexの用途、ローカルファイル、クラウド同期、履歴と権限の境界を案内する。 ↩↩↩↩↩↩
OpenAI, ChatGPTのGPT-5.6, 2026年8月9日参照。推論レベル、自動切り替え、プラン別の選択肢、Work、Codex、APIでの提供状況を案内する。 ↩↩↩
ASCII.jp, 「ChatGPT Work」発表 CodexアプリはChatGPTアプリに統合, 2026年7月10日。ローンチ時の画面構成と、当時のクラウドWorkとデスクトップWorkの履歴非同期を報じる。 ↩
Joanna Stern, OpenAI President On Reinventing Computers, 2026年7月29日。Greg Brockman氏によるUI評価とWorkタブの年内統合見通しを収録する。 ↩↩
Inc., With Just 5 Words, OpenAI's President Admitted the Problem With the New ChatGPT App, 2026年8月1日。インタビューの発言と7月16日のUI修正を報じる。 ↩↩