Codex CLIの音声入力は0.118.0で削除:現在はDesktopのDictationを使う¶
対象 / ポイント
対象: 過去の手順を見てvoice_transcriptionを有効にしたが、現在のCodex CLIで音声入力できない開発者
ポイント:
- スペース長押しの音声入力は、
0.118.0で全OSのCodex CLIから削除された - Linux / WSLでは、機能が存在した時期にも録音処理が無効だった
- 現在はCodex DesktopのGlobal Dictationから、CLIの入力欄へ文字を送れる
Codex CLIでスペースキーを長押しする音声入力は、現在のmacOS、Windows、Linuxのいずれでも使えない。 PowerShellだから動かないわけでも、Windowsだけ機能を外されたわけでもない。 OpenAIが未完成の機能を0.118.0でCLIから削除したためだ。
本記事の問いは、音声入力がいつ、なぜ消え、現在のCodex環境では何を使えばよいかである。
結論:CLIからは削除、Desktopでは利用できる¶
2026年7月15日時点の状況は、次のように整理できる。
| 環境 | スペース長押しのCLI音声入力 | 現在の選択肢 |
|---|---|---|
| Windows PowerShell / Terminal | 使用不可 | Codex DesktopのDictation、Win + H |
| macOS Terminal | 使用不可 | Codex DesktopのDictation、macOS音声入力 |
| Linux / WSL | 使用不可 | ホストOS側の音声入力 |
| Codex Desktop | CLI機能とは別 | Dictationを正式サポート |
OpenAIのメンテナーは、音声文字起こしはDesktopで正式サポートされる一方、TUIでは現在利用できないと説明している1。 CLIからDesktopへ「移行した」という製品方針までは公表されていない。 正確には、未完成のCLI実装が削除され、Desktop側にはサポート済みの代替経路があるという状態だ。
追加から削除まで約5週間だった¶
この機能は、最初から完成版として追加されたわけではない。 2026年2月23日、PR #3381でスペースキー長押しによる録音と文字起こしが追加された。 PR本文には「still in development」とあり、features.voice_transcription = trueを設定した場合だけ試せる機能だった2。
同年2月27日、WSLで動かないというIssueに対し、OpenAIのメンテナーは「まだ開発中で利用可能な状態ではない。準備できたらexperimentalにする」と回答した3。 記事やSNSで手順が広まった時点でも、正式な実験機能になる前の段階だった。
3月29日、PR #16114が未完成のTUI音声文字起こしを削除した。 削除対象は機能flag、録音・文字起こしイベント、スペース長押しの状態管理を含む一式である。 PRは実装を「partially-completed」と説明しており、この変更がCodex CLI 0.118.0へ入った4。
2026-02-23 #3381 スペース長押し音声入力を追加
2026-02-27 開発中で利用可能ではないと説明
2026-03-29 #16114 未完成の実装を削除
公式に確認できる削除理由は「未完成でサポートできない」までだ。 品質、保守コスト、Desktopとの機能整理など、それ以上の事情は公表されていない。
WSLでは存在していた時期にも使えなかった¶
WSLでは、0.105.0へ戻しても同じ機能を使えない。 当時のLinux向けコードでは、音声入力のfeature gateが無効で、スペースキーの録音処理も何もしない実装だった。 ネイティブLinuxでも同じ挙動が再現されている3。
Windows版Codexのエージェント環境をWSLへ切り替えている場合、Codex CLIはLinux側の処理を通る。 そのため、config.tomlへvoice_transcription = trueを書いても録音は始まらなかった。
現行の0.144.4では、さらにflag自体が認識されない。
$ codex --enable voice_transcription features list
Error: Unknown feature flag: voice_transcription
macOSでは初期実装を使えた報告があるが、現在は同じく削除済みだ。 macOS利用者からも0.118.0で消えたという報告があり、TUIへの復活要望は別IssueでOpenのままである5。
realtime_conversationは別の機能¶
realtime_conversationを有効にしても、スペース長押し入力は戻らない。 これはvoice_transcriptionとは別に、/realtimeで双方向音声を扱おうとした実験だった。
Realtimeのflagは現行版にも残るが、2026年6月12日にTUI側の/realtime、マイク取得、WebRTC、音声デバイスUIが削除された6。 App Serverの実験的なRealtime APIが残っているため、flagが存在すること自体は、CLIで音声入力できる証拠にならない。
現在はCodex DesktopのGlobal Dictationを使う¶
このPCでは、Codex DesktopのGlobal Dictationを使える状態だった。 確認時のCodex Desktopは26.707.9981.0で、マイク選択、長押しとトグルのホットキー、辞書、文字起こし履歴を備えていた。 公式マニュアルもDesktopのDictationとショートカットを案内している7。
Global Dictationは、デスクトップ上でカーソルのある入力欄へ文字を挿入する。 そのため、Codex Desktop自身の入力欄だけでなく、PowerShellやWindows Terminalで起動したCodex CLIにも使える。
- Codex Desktopで
Settings → Voice → Dictationを開く - 使用するマイクを選び、長押しまたはトグル用のホットキーを設定する
- ターミナルのCodex入力欄へカーソルを置き、設定したキーで録音する
- 文字起こし結果を確認してから送信する
ホットキーが反応しない場合
Global Dictationは別のChatGPT Desktopインスタンスと競合する場合がある。 このPCでも競合ログを確認した。 ChatGPT Desktopを完全終了し、Codex Desktopを再起動してから試す。
Codex Desktopを使わない場合、WindowsではWin + Hの音声入力も使える8。 どちらも音声を通常のテキストとしてCLIへ渡すため、WSL内でマイクを直接扱う必要がない。
まとめ:古い記事は当時の版に限れば正しい¶
0.105.0を対象にしたスペース長押しの紹介は、公開当時の実装を説明したものだった。 ただし、その機能は正式サポート前のまま0.118.0で全OSから削除され、現在の記事としては古くなっている。
今回の経緯で重要なのは、under developmentのfeature flagは、予告なく仕様変更や削除が起こり得る点だ。 設定ファイルに値が残っているだけでは、現行版で利用できるとは判断できない。
今の実用的な選択は、Codex DesktopのGlobal Dictationを第一候補にし、OS標準の音声入力を予備にすることだ。 CLI内蔵の音声入力を待つ場合は、Openの要望Issue #14630と、将来のリリースノートを確認する必要がある。
関連記事¶
OpenAI Codex GitHub Issue, TUI voice transcription。OpenAIのEric Traut氏がDesktopでの正式サポートとTUIでの非対応を説明。 ↩
OpenAI Codex GitHub Pull Request, voice transcription, 2026年2月23日マージ。 ↩
OpenAI Codex GitHub Issue, Voice input not working on WSL。Linuxの実装分析とメンテナーの回答を確認できる。 ↩↩
OpenAI Codex GitHub Pull Request, Remove TUI voice transcription feature, 2026年3月29日マージ。 ↩
OpenAI Codex GitHub Issue, TUI voice transcriptionおよびVoice transcription for TUI。 ↩
OpenAI Codex GitHub Pull Request, Remove realtime conversation mode from TUI, 2026年6月12日マージ。 ↩
OpenAI, ChatGPT desktop app commands。 ↩
Microsoft Support, 音声入力を使用して、PCで入力する代わりに音声で操作する。 ↩